ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

気持ちわりぃ

今日はお盆休みの最終日。でしたが、「リアル脱出ゲーム」の関係で前夜から落ち着かず…。予定を済ませ、乗り換え駅の改札を出ようとした所で事件は起きました。

 

この時、ちょうどイヤホンのバッテリが切れていたので外していたんですね。いつもは何言われるかわからなくて怖いから基本は着けているんですが。でもまさか、周りにそのニイちゃんと私しかいない状況で、吐き捨てるように、言われるとは思いませんでした。

もしかしたらイヤホンをしている時もこういう人はいたのかも知れないけれど、幸いにも私に聞こえるように言ってくる通行人はおらず。今更ですが、これがRLE途上の辛さってやつですか…平沢ゆうな氏の自伝漫画にもそっくり同じようなシーンがありましたね。

尚その時の格好。

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スーツ部分はメンズ、ブラウスとベルトはレディースという中途半端さ。メイクはしていても顔の輪郭モロ出しだったのでバレバレなのは仕方ない。

 

でも私の容姿が幾ら悪いからって、すれ違いざまに暴言を吐かれる謂れは無いと思うんですが、まだまだ世の中はそんなもんなんですかねやっぱり。我々トランスジェンダーは何を言われてもいい存在で、言った側は責任を問われることも無いと。例のニイちゃんみたいな人が、私の耳の前で言わないだけで同じように思っている人がゴロゴロいると。

なんとも世知辛い話だが、そういう連中を黙らせるような容姿を自身が手に入れないことには仕方ないのよね…。まずはやっぱり顔面。メイクと脱毛とほくろ切除。それで駄目なら額への脂肪移植とかも考えないと。

 

性別移行「途中」の人間に関しては、恐らく「そのままでいい」ということは有り得なくて。自身の不断の努力により、望まれる扱いを受けるように姿を変えなければならない。時には振る舞いも含めて。これからの私の大きな課題ではあるけれど、やはり説得力を持たせねば。当事者同士で傷の舐め合いばかりしてはいられない…。自身の状態によってはそれが必要な時もあるけれど、最終的には理解のある人も無い人もいる世の中に放り込まれるのだから。

いつかは卒業…しないとなぁ。

レディースバッグ

昨日はようやく葬儀の諸々から解放されたということで、終日あてもなく都内をさまよっていました。都区内パスでぐるぐると回り、コスメを買ったりスイーツを食べたりしていた中で、欲しいと思っていた物を購入することができました。

 

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それがこちらのバッグ(チャームは以前買ったもの)。

今まではリュックや帆布トートを使っていましたが、より機能性に優れたものを求めていました。そこまで大容量でもなく、でもA4ファイルや500mlペットボトルは入って、持ち手の紐が長過ぎずファスナーで開閉できること。

これら条件を満たすものがちょうど見つかって、しかもセールで2000円!デザインもレディースらしく、街で見かける女性が持っていそうな感じ。中もツヤツヤしていて毛羽立つことも無さそう。小さい物が入るポケットもあり、外出には問題無さそうです。A4はギリッギリでしたが。

 

どう見てもレディースバッグなので一瞬迷いもしましたが、今更ユニセックスに寄せる意味も無いなと思い購入を決意。A面での外出はリュックかこれになることでしょう。ユニセックスにせざるを得ない場や大容量の方が良い場では帆布トートを使えばいいし、仕事カバンは別にある。良い買い物だったと思います。

外出の楽しみが、また一つ増えました。

SOGI

葬儀を終えた次の日の朝は寝落ちからの起床で始まりました。起きたら身体が軽く感じたので、まぁそういうことなのでしょう。

 

さて、今日はタイトルの通り「葬儀の場におけるSOGIの問題」について感じたことを記してみようと思います。敢えてSOGIとしているのは、シャレもあるけど事によってはシスヘテロでも関わることだと感じたので。

葬儀というとそれを行う単位はやはり「家」。そこではいわゆる「伝統的家族観・ジェンダー観」が前提に事が進むことになりましょう。まぁ、故人の年齢や親族構成にもよるでしょうが。

 

私が今回一連の流れを見てきた中で浮かび上がっていた問題はこんな具合。

  1. 未婚である人に対する『結婚/相手/子供はまだか?』という圧力
  2. 喪服や鞄等の持ち物の男女差
  3. 外見を典型的な男/女らしく見せろとの要求、それにより望まない外見でいるのを強いられること
  4. 式の種々の場面における性別役割分業
  5. 男女による死化粧の有無や濃淡の差
  6. 主に業者からの『奥様』『ご長男様』といった性別に基づいた呼称
  7. 仏式の場合は戒名の男女差(信士/信女、釋/釋尼 等)

 

割とあった。順を追って見ていきますか。

1はもう、葬儀でなくとも親族が集まる場での定番ですね。性的指向だけでなく生き方としての未婚であっても心無い言葉には変わりません。

2と3は関わり合ってきますね。外見で否応無しに男女に分けられる。特に3は、今回私がトランスでありながら親族にカミングアウトしていない&原家族から断髪を求められるという状況にあって、嫌という程の苦痛を体感しました。ノンバイナリ、或いは独自のファッションセンスを持つ方にとっても時に苦痛であることでしょう。

4は例えば故人の遺体・棺を運ぶ際に『男性の皆様はお手伝いください』『男性の方がなるべく上半身をお持ちください』と言われたり、女性にだけ会食や火葬待機中の席で給仕や式場での受付が求められたりといったこと。「お力のある方」や手の空いている人・余裕のある人では駄目なんですかね。

5の話を葬儀屋から聞いた時、私はこれまで以上に「男としては死ねない」との思いを強くしました。外見を整える目的で薄めのメイクは希望により施すようですが、フルメイクではないよう。遺言に希望をしたためておくのが安全策か。

6は葬儀屋側が時代に合わせてアップデートすべき所なのかなと。「お連れ合い様/パートナー様」とか「ご長子様」とか。いっそ名前で「○○様」というのも改名を希望する当事者が居なければありでしょうが。

7…は…これどう決めてるのでしょう。戸籍に基づいているんですかね。トランスの方が希望を叶えるには戸籍変更ということになりましょうが、種々の事情でそこまでできなかった場合はどうなるのか…。遺言で何とかなる範囲なんでしょうか。教えて有識者様。カトリックで洗礼時に与えられる洗礼名(クリスチャンネーム)とかも同種の問題を孕んでいそう。

 

うーん、我が家だけのケースもありそうだけど、広く冠婚葬祭や親戚付き合いにおいて残る旧来のジェンダー観の問題も根深そう。普段はなかなか根回しのできない人達が相手なのが難しいところ。かと言って、時代が変わるまでのんびり待っている訳にもいかない。こうした発信の積み重ねで、少しでも変化のスピードを上げられればと思います。

亡祖母 告別式

本日、亡祖母の葬儀に関する一連が終わりました。永きにわたり私の実家で闘病をしてきた祖母も、故郷の小金井市で肉体の枷から先程解き放たれました。戒名に、亡き父方祖父母の*1法名の字が一つずつ入っていたのは偶然としては出来過ぎたご縁。自由にならない身体でできることは限られながらも、その中でもできる限りの望みを叶えて逝けたのは幸運だったのでしょう。

 

告別式は滞りなく進み、懸案の待機時間は生前の祖母の話で何とか間を繋ぐことができました。父方の叔父・叔母も参列してくれましたが、『芸術家みたいな格好』と言われた瞬間は焦りました…。それ以上何も無かったのは叔母という距離感故か、男装がうまくいっていたのか。あ、散会後に実母から『それ毎日後ろピンで留めて出勤してるの?』って言われたな…。私よりだいぶ背は低いし悲しみと喪主としての役割から私の後ろ姿なんて見る余裕無いと思っていたんだが、こういう所は本当に目ざとい。

 

あと、従兄弟の1人が(私より4つ上)未婚という話が私に飛び火した時は肩身が狭かったなぁ。母方の大叔父まで乗っかってくる始末。『家に寄り付かないってことは絶対(彼女が)いると思うんだけど』とは叔母の談。それは有り得ない訳ですが、寄り付かないという言葉のチョイスは嬉しかった。その通り、故あって寄り付かんのだよ。実母への牽制になっていたかは知らんが。

 

結局、私の風貌について原家族には大幅なイメチェンという認識で通せた感触です。ただ、セクシュアリティに関しては結局先送りになってしまいました。冠婚葬祭はこれで終わりではなく、恐らくこれから

  • 祖母の一周忌、三回忌、以下続
  • 伯母(実父より10歳上)の葬儀
  • 実父、実母の葬儀とそれに伴う法要

は最低でも控えているわけで。

縁を切るとか距離を取るとかの話にも至らず、その場を乗り切るだけでなぁなぁになってしまったのはいかにも私らしいと言うべきか…。”脱出”が成功すれば今以上に風貌も変わるというのに。

 

今回の祖母の件で原家族としては私に葬儀手配のイロハを叩き込みたかったらしく、それを逃してしまったのはやや後悔。原家族が死ぬまでに縁が切れていたら関係は無くなるけれど…。

 

とにかく、ひとまずは葬儀とそれに関わる家族親族との顔合わせを男装で乗り切ったということで自分をいたわってやりますか。休みはもう残り実質2日だけど。先送りになった原家族カムの問題とか葬儀の場におけるジェンダー問題とかと考えたいけど、それは明日の自分に回そう。

 

祖母よ、安らかに。その生き様から学んだことを、孫はこれからの人生で存分に活かしていきたい所存です。

*1:父方は浄土真宗なので戒名ではなく法名という。

亡祖母 納棺の儀

先程、納棺が終了しました。祖母が育った小金井の地で、ご兄妹と原家族と私が立会。明日もですが、私は職場以上のフル男装で臨みます。

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オールバック。こんなの職場でもしないよ。耳掛けonlyだわ。使ったのはこいつら。

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スプレーは前髪キープ用に持っていたやつだけど、ジェルは危篤の報せがあった際に急遽仕入れたやつ。

 

原家族からのメールや電話に怯えつつ、準備に時間をかけることで敢えてギリギリに斎場へ赴きました。

結論から言うと、今日は大した詰問はされませんでした。親族との顔合わせと祖母とのお別れで、それどころではなかったというのが正確。大叔父から『すごいイケメンで!どこのジャニーズかと思った』とのコメントがありましたが、あんまり嬉しくなかったです。男として整った顔って、時にトランスの障害にもなり得るので…。まぁ『若く見える』ってのは嬉しかったけど。あと、やっぱり顔立ちは母方に似ているようです。

 

さて、祖母が息を引き取ってから初めて顔を合わせましたが、危篤時の人工呼吸器をつけられていた顔とは一転、安らかな死に顔でした。涙で顔を濡らしつつも、「お疲れ様」の声をかけてやれて良かったです。闘病生活、20年近かったもんなぁ。

生前は元気だった頃も歩けなくなってからも美の追求を怠らなかった祖母。実母が細かく要望を聞き世話をしていたのもありますが89歳とは思えぬキメの細かい肌で、斎場の方も元気な頃を思い起こす綺麗な死化粧を施してくださいました。形見になったメンズのベルト、痩せて切った分も納められて良かった。

 

この日はひとまず解散となり、残すは翌日の告別式。解散後に実母から『ねぇそれ(髪)何かで留めてるの?』『明日はちゃんと(眉毛)書いてきてよ』とは言われましたが。それぞれ「ジェルとスプレーで固めてる」「一応薬局でひっ掴んできたやつで書いたけどさ、もっとさっきのばあちゃんみたくしてみるかね」と応戦しておきました。頭ごなしに駄目とは(恐らく親族の前ということもあり)言われませんでしたが、及第点とはいかなかったようです。

 

ひとまず第一関門は終了。明日の3時間。それだけだ…。

職場とセクシュアリティ #2-5

祖母の葬儀が日・月となり、実家からの呼び出しも無かったので「職セク」に参加できました。忌引休暇の使い方としてはどうかと思うが、使えるものは使っておく。しかし、お昼に実母からこんなメールが…。

詳しくはこのツイートから始まるスレッドをご参照頂きたいのですが、もうこれで気分は沈むし食欲も無くなるし呼吸も浅くなるしと散々。誰かと話したり何か作業したりしていた方が気が紛れると思い、いつもより大分早めに会場へ向かいました。

 

今回の事例はアライへのハラスメント。家族に当事者を持つアライの職員。社内研修の講師がゲイをからかうジョークを言い放ったことにコンプライアンス面での問題を指摘すると『あなたはLGBTなの?』『過激な思考の活動家』と詰問されて職場に居づらくなり…というもの。

社内の風土や認識が遅れているという意見が目立ったのは、やはり関心を持つ人の集まりだからか。こうした物言いをナンセンスだと言うのは簡単でも、何故そんなにムキになるのかと相手を増長させる不安はつきまとう。私自身、LGBTなのかと疑われる流れからカムを強いられたりアウティングさせられたりするのが嫌で、職場でSOGIハラっぽい言動を見聞きしても指摘できない面はあります。社内での立場も低いし。

 

ただそれ以上に、実は詰問の描写が祖母危篤時に会った実母のそれと被りまして。ちょっとしんどさを感じたケーススタディでした。ちなみにその際の実母語録が下記。

  • 『あんたどうしちゃったの…?LGBTとかトランスジェンダーなんじゃないの!?』
  • 『大問題だよ!』(仮にそうだとしたら何なのかとの私の切り返しに対して)
  • ジェンダーぁぁぁ!?ジェンダーレス男子ぃぃぃ!?』(最近のファッションとして誤魔化してみた時の反応)

都内で生まれ育った50代後半女性の認識。怒り狂って叫ぶというよりは、変わり果てた姿に呆然とするような口調でした。一般論としてもそうですが、実の家族が子に向けて放った言葉としても哀しくなります。私がカミングアウトしていないので自業自得ではありますが。

 

人恋しさから、食事会にもいつものように参加。いつものお店は満員だったので別の所でしたが、豚の骨をはじめ美味揃いで満足でした。池袋、中華の穴場多いですね。

それはともかく、話を聴いてくださり感謝感謝…。食事会や前後のTwitterでの相互さんとのやり取りで色々考えましたが、髪はこれ以上切らずに誤魔化して臨みたいと思います。自分を大切に。切った場合の未来を想像すると、鬱まっしぐらだったので。親は何かあっても責任を取ってはくれない。

納棺まで24時間を切りましたが、未だ罪悪感の只中に。最悪は縁切りか…覚悟、決めないとな。

両用ヘア

祖母の逝去に伴い、予約の日ではカットが葬儀に間に合わなくなる可能性が高くなった私。ひとまず美容室に連絡せねばと思いホームページを見ると、なんと奇跡的にもお昼に1枠だけ空きが!慌てて予約を変更し、カットに行くことができました。

 

当日朝の変更だったこともあり、またカミングアウトをした上で通っているということもあり、髪型に関する事情を説明。「葬儀対策に少しでも短く見えるよう、しかしプライベートの為に結べる長さは残せるよう」そんなリクエストをさせて頂きました。

結果、仕上がりは後ろを中心に前回よりも短く2.5cmカット。毛量もだいぶ梳きました。横のシルエットを少し変え、オールバックにした際にまとまりやすくしてくださいました。クリップで留める方法をはじめとして色々と短く見せる方法も教えて頂きましたが、残念ながら後頭部がぷくっと膨らんでしまうので実用は断念。「オールバックで後ろ髪を襟に収納」というやり方でいくことに。

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何も付けていないとこんな感じ。ここからスーパーハードのジェルで固めて男になります。

 

ついでに夜には13回目の髭脱毛も。最初は雑そうなNsさんに思えましたが、休憩の取らせ方や照射後のケアは印象に反して今までで最も丁寧だったように感じます。しっかり全体をくまなく冷やしてくれたし、軟膏も漏れ無く塗布。なんだか前回よりも痛みが強かった気もしましたが、レーザーの出力が上がったか私が諸々の疲れで痛みに敏感になっていたかは定かでなく。

 

ひとまずこれで、私ができる範囲での身だしなみは準備しました。原家族が求める『婆ちゃんの孫として恥ずかしくない姿で最後のお見送り(原文パパ)』は私にはできないけれど、できるだけ近い形で。原家族2人ともそうなるかはわからないけれど…ひとまずは祖母との、今生の別れを。

納棺は日曜日、告別式は月曜日。