ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

アイリス講座

昨日はセミナーの運営側、今日は参加側ということで、渋谷区主催事業・アイリス講座「トランスジェンダーも働きやすい職場とは 〜みんなが働きやすい職場づくりの最前線〜」を聴きに行ってきました。講師は特例認定NPO法人虹色ダイバーシティの村木真紀代表。「トランスジェンダーと職場環境ハンドブック」という書籍を今年の3月に出版されています。

(恥ずかしながら未読なのですが、講座を聴き購入しておこうと思いました)

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会場は日曜日のワークショップと同じ場所。60人定員のところ、50人以上は来ていたように思います。企業の人事担当者を中心に、働く当事者や非当事者、地域住民の方々まで幅広い層が参加されていたようです。

「基礎知識」「日本の置かれた状況」「職場における困難」「職場での施策」といった内容で、最後に質疑応答も含めてたっぷり2時間。特に職場での困難と施策について、細かくカテゴリを分けて述べられていたのが印象的でした。セクハラ(が叫ばれるようになった)の時のようにハラスメントに対してもう一段階敏感にならなくてはいけない、というのはまさにその通り。差別的な発言というのは、自分以外に向けられたものであっても雑談の中のほんの一言であっても、ダメージが大きいのです。結婚・恋愛や「らしさ」への囚われ…露骨な差別語等でなくてもアイデンティティを否定されたと感じることがあり、当事者からは差別語よりも圧倒的に多く困り事として挙がったそうです。

 

職場での施策については支援体制・社内制度・意識変革の3軸で、その土台としてダイバーシティ教育の推進があると述べられていましたが、うちの職場を思い浮かべてみると、ダイバーシティの土台作りから始めていく必要がありそうでした。相談窓口とか福利厚生とか全職員研修とか、それ以前の状況だと私の目には映っています。

支援ポイントとして第一に挙げられていた「当人の仕事の経験や能力は変わらない」という点は何回頷いても足りません。仕事をする場で仕事以外の理由で職場を追われる事態になってはたまったものではないし、それはナンセンスだと感じます。更に踏み込んだポイントとして、「その人だけの対応にせず、職場環境の改善と捉える」ということも語られ、思わず膝を打ちました。当事者が他に「いない」なんて言い切れない訳ですから。

 

そう言えば弊社は業務効率の改善には割と目が行くようですが、環境の改善についてはあまり声を聴きません。今振り返ると、環境改善については給湯室の掃除当番が女性の中でも特にうちの課に偏っていた話が直近にありました。これには私も色々思うところはありましたが、確か試用期間中か空けてすぐだったので進言できる力も度胸も無く。問題も職場内では落ち着きを見てしまったので、蒸し返すと厄介に思われること請け合い。性別役割分業から男女平等→多様性へと話を広げる良いチャンスだったのですが…。

 

それはそうと、企業の取り組みとして講座内や前掲の書籍で挙がっていたのは大企業のものばかり。私が勤める職場の規模のこともあり、中小企業での取り組みはどうかと質問をさせて頂きました(挙手ではなく質問シートに記載する形式)。村木代表曰く、中小は職員1人あたりの比重が大企業より大きい=1人辞められると痛いので、一度取り組みさえできれば一気に進む事業所が多いとのことでした。管理職の”鶴の一声"でうまく事が運ぶこともあるようですが、管理職側の拒否感により、その鶴の一声で逆にシャットアウトされる可能性も無くはないだろうなと懸念します。

拒否感を持つ人については、他の人権問題に当てはめてその人達の不利益を考える所から始めてみてはとおっしゃっていましたが、うちの人達に響くかどうか…。総務の中心人物は普段から面倒事はまっぴらという態度を示しているし。

また、前職は全部で10人くらいの職場だったので上の人とも割とフラットに話せましたが、現職は人だけでも20倍以上の規模となり組織がきっちりしている分、どうしても普段から序列を意識しがちになります。そこばかりは「言うべきことは言えばいいだろ」という声もきっとあるでしょうし、その通り自分自身の意識の問題ですが、先駆者が(恐らく)いない環境下で1年目の新人が職場環境について幾つも幾つも物申したら大事件でしょう。でもまぁ、この「言い出しにくい」風土こそが変えていくべきものですし、事実、相談できる雰囲気が社内全体に醸成される必要性を村木代表も再三にわたり力説されていました。

 

総評としては、参加して良かったです。職場での問題を捉える際の枠組みができました。しかし今日話された内容を講座単体で整理するのは難しそう。書籍を買って読み込んで、今後の自分の糧にしたいものです。やはり私が先駆者になるしかないのか…?

明日は久々ジェンクリです。