ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

私はワタシ over the rainbow

渋谷区アイリス講座に参加するのも3回目。本日は仕事の後に映画「私はワタシ over the rainbow」上映会に行ってきました。

60人ほど入る会場は満員御礼。映画は著名人を中心に総勢50人の声を紡いだドキュメンタリー。あるがままに生きたい切実な声でありながらも、敢えてドラマティックなアップダウンを排除した構成で、良い意味でフラットな気分で観ることができました。

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上映後は、女優で 一般社団法人Get in touch 理事長・東ちづるさんと渋谷区ダイバーシティ担当課長・永田龍太郎氏によるトークセッション。私がトークで印象に残ったのは以下のお話。

  1. 私達にできるのは、悪気無く何気無く発された「ネタ」をスルーしないこと
  2. 「こんな映画が昔は必要だったんだ」と言える時代が来るといい
  3. 一度撮影を終えた後に「この映画には私がいない」との声を受け追加撮影をした

 

1について、私も学生時代には弄られ自身について思い悩むきっかけとなった「ネタ」的発言。スルーせずに指摘するということはその場で波風を立たせることで、『ムキになるということはお前も”そう”なのか』というアウティングのリスクとも隣り合わせ。それでも、自分の周りの人々の価値観がアップデートされるには必要だし、何より現実にいるその人が言うということが本やテレビやネットよりもずっと効果的だろうと思います。我々は空想の生き物ではなく、皆さんの隣にいる人なので。

 

2について、本当にその時代が早く来て欲しいものです。私が生きている間は難しいかも知れないけれど、せめて2100年代くらいには。東さんがオランダ(最初に同性婚が認められた国)人にこの映画を見せた際に『え、この映画って必要なの?日本のことがよくわかった』と言われたそうで。日本の現状を象徴していますよね…公人があんなことやこんなことを言い放ってもお咎め無しという…。

 

そして3。

私もいなかったよ!!

これ、最後にあった感想・質疑コーナーでどれほど言おうと思ったことか。映画の中にね、トランスの方はおられたんですが、アセクシュアルの方は0。本編前の導入として基礎知識を紹介する映像がありました(ちなみにナレーションは三ツ矢雄二さん)。そこでは、好きになる性に関する所で『恋愛しようとは思わない』と例示され、周囲の心無い一言の例で『結婚はまだ?』『(異性愛は)自然の摂理』といった言葉が挙げられていました。しかし、本編に登場した50人の中で”asexual”と書かれていた方はおられませんでした(出演者はお名前とセクシュアリティがセットで表示される)。

撮影後にNGとなってしまった方も数名おられたようなので、もしかするとその中に入っているのかも知れません。しかし、Aceがまだまだマイノリティ内マイノリティであるということを痛感させられました。NPOや民間の活動家の方々が啓発を進めてはいますが、ここは是非とも公の力で私達がいるという事実を埋もれさせず伝えて頂きたいなと思います。そしてそのことをせめてもの行動としてアンケートに書きましたので、区の担当の方には目だけでも通して頂きたく。

 

ただ「良かった」だけでなく、物足りない所や考えることがいくつか出てきたのは、普段受け身な私にしては珍しいこと。夕方〜夜にかけて徐々に風邪っぽい感覚を覚えながらも参加した甲斐がありました。アイリス講座自体は興味深い企画がたくさんあるので、都合が合えばまた足を運ぶつもりです。