ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

心を止めたい

法要が明日に迫る中、1日その準備に追われていました。夜になっていくにつれ、何も考えたくない・明日が来なければいいのに・両親と顔を合わせるのが怖いといった感情が渦を巻き始め、いっそ心を止めたいとすら思います。昔は何でもそうやって乗り越えてきたはずなのにね。「感じないようにする」は11歳の頃から永らく十八番だったじゃないか。肝心な場面でそれができないとは情けない。

考えれば考える程、参列するのは気が重いです。というか出たくない。でももし仮病など使えば見舞いに来られるのは確定なので、本当に調子が悪くなったとしてもお構いなしに這ってでも参列しなければなりません。

 

準備はまず物品調達から。黒ネクタイとヘアジェルを買って、鞄……はあったのでそれを使う。身だしなみも大切。顔の産毛(もとい髭)や眉毛は敢えて生えっぱなしのまま放置。「男らしくなさ」が多ければ多い程、実母に突っ込まれる余地を与えてしまうからね。

法要が終わったらすぐ寺を出たいので、その為の予定の設定も練っておく。遅刻してリハーサルに合流することにしてあるので、楽器を背負って出るのを忘れずに。行き先は県境を跨がず且つ『車で送っていく』と言われないような場所にしようか。ワクチン2回目の接種日程も設定を固めないと。9月下旬にモデルナ1回目ということにしてあるから、10月最終週とでも言っておく。ベルトをわざと忘れることで指摘されて"本筋"の話題が出る時間を抑えて、お腹の調子も良くないことにして少しでも長くトイレへ居られるように。トイレに行く時も待機部屋に荷物は置かず、実母に中身を覗かれないよう対策せねば。
 
まるで芝居の台本を書くかのように準備をする必要があるのは、今の私にとって冠婚葬祭がただの冠婚葬祭に留まらない意味を持つから。旧来的なイエ制度・家父長制とは相容れず"普通"で在れなかった私(それを向こうは知らない)。両親だけでなく親族一同が集う場は、そんな私を縛り引き戻す鎖でもあると思う。真綿で造られた、優しくて正しくて苦しくて言葉を奪う鎖。少しでも自分の心を守れるよう、祈りながら気の乗らない準備作業。まだ不安は取れない。帰宅してから少し寝逃げしても駄目だった。ダメージは避けられないのだろうな。

 

両親の機嫌を取る為に仕方なく法要に参列する……その思いが弔われる側に失礼なのはわかっている。親子関係としても健全とは思えない。ただしこちらが*1"手の内"を明かしていない以上、向こうは健全だと信じ込んでいるわけなので、非があるのは自分の方。だから強く出られず、少なくとも表面上は聞き分けの良い長男でいなければならない。近い境遇の"戦友"さんに離れ時を決めてかかろうと言った口で、自分がそれを決められずズルズルを引き伸ばしているのだからまぁ情けないったら。別の友人には家族とのやり取りで無理をするなと言われたが、こればかりは無理をしないと乗り切れない。法要の1時間前後は戦いであり、これが最適解なのだ。

ヘアジェルでバキバキに固まった髪を元に戻すのがどれだけ大変か。心もきっと同じこと。

*1:明かした所で信じてもらえる見込みも無いので。