ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

#READYFOR事務局は言論弾圧に荷担しないでください

7/30に即日達成した、電子書籍「#TERFと呼ばれる私達」出版に向けたクラウドファンディングプロジェクト。それが運営サイトであるREADYFORによって継続可否を問われているようです。

READYFOR社の見解に曰く、

プロジェクトページにおいて、トランスジェンダーの方々の性自認への配慮を欠くなどの差別的な表現であるなど、当社として不適切と考える表現が複数存在したため、実行者様とも協議の上、プロジェクトページの全文を削除するとともに、応援コメントに関しても非表示措置をとらせて頂いております。

とのこと。また、修正方針として

  1. トランスジェンダーの方々の性自認を尊重する姿勢を明確に打ち出すこと
  2. 性自認の尊重に欠く差別的な表現は削除・修正すること

を発起人さんに求めたそうです。

 

これに対して、発起人である「ヘイトを許さない一市民」さんが曰く、

私としましては性自認による女性スペース分けは女性の安全を軽視するものであること、被差別属性である女性の定義をする権利を女性から奪う事が女性差別であるため女性の定義を変えることはできないこと、"シス女性"を自認しない人をシス女性呼びすることはミスジェンダリングであること等を伝えました

また、性的少数者の権利団体等の監修を入れることを求められたためトランスジェンダーの当事者団体である*1性別不合当事者の会に監修をお願いしたいとREADYFOR事務所にお伝えしてあります(当事者の会さんにはまだお話していません)

"女性から女性を定義する権利を奪うことは女性差別である" この主張がREADYFOR事務所に受け入れられるか次第でプロジェクトの続行可否が変わってくることになります

と立場を表明。本記事投稿時点ではなお協議中の模様。

 

防犯や公共の治安維持に関する冷静な議論はネット論壇でもなかなか行われていないように私には見受けられます。極論での殴り合いになりがちである故でしょうか。それを書籍という形で落ち着いて検討できるのは大切な機会である思います。加えて、これまで幾度となく見過ごされてきた"市井の女性"達の言葉を・思いをまとめるという行為自体が永くなされてこなかったことです。エンドユーザの声があってこそ、誰も取り残さない形での施設の在り方や運用を整備できるものと私は感じます。

また、第三者の視点として当事者団体の監修も入るようなので、その点でも動向を注視したいと思います。当事者団体を(私が狭い観測範囲と承知の上で)概観するに、目立つのはメンバーに対して受容的で当事者がそのままに尊重されることを何よりも重視するタイプの団体が多いと見受けられます。対して発起人さんが挙げている団体は、当事者も一枚岩ではないことを前提に、迷惑行為や"行き過ぎ"は決然と批判し、現行制度下で如何にうまく女性達と共生していくかを重視するタイプの団体という印象を持っています。軸足を理想と現実のどちらに置くか、性善説性悪説かの違いとも言えましょうか。勿論、理想を唱えることは重要ですし、理想通りの社会になればいち当事者としてもさぞ生きやすくなるだろうと想像します。その一方で、私達が日々生きているのは現実です。ままならないことが多い中で泥臭く生き延びていく方法を考える方が、叶わぬ理想を追い求めるよりも建設的だと私には思えます。

 

双方での協議を経て、差別の助長や扇動にならない形で性別により分けられるスペースの在り方を問い直せる書籍になればと期待します。TRAとTERF……そう他称される両陣営の立場から近年のトランスジェンダーを巡る論考を見ることは、お互いにとっての『論的の視座』を通じて各所の施設や人々の価値観を(その時々で)最もインクルーシブな地点に落とし込むことに繋がるのでは、と踏んでいます。あまりに希望的観測でしょうか。

*1:引用者註。8/3 16:32時点。