ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

逆転勝訴

経産省トイレ訴訟、最高裁判決が本日出ました。

www.tokyo-np.co.jp

結果は原告の逆転勝訴。離れたフロアのトイレのみ使用を認めるとの人事院の判定を「違法」としました。今崎幸彦裁判長の下、裁判官5人(男性4人、女性1人)の全会一致だったそうです。

 

ジェンダーアイデンティティに沿った生活を送ることが「重大な法的利益」であることが改めて示された格好。一方で、防犯の観点からの懸念もさっそく噴出しています。警戒すべきは、「トランスジェンダーだから女性トイレを使える!最高裁もそう言っていた!」などと、本判決を錦の御旗とした闖入者が増えること。勿論、*1本判決はあらゆる場における錦の御旗たり得ないのだけれど、不埒者というのは知ってか知らずかそこをスルーして都合良く解釈して事に及ぶんですよね。

防犯への警戒をより強める必要があるのは勿論のこと、移行の過程においていつ・何は・どの施設を使うのかは、個々に状況を判断していかねばなりません。治療やRLEの進み具合、所属コミュニティごとの周囲の理解、生まれついた外見……当事者同士で共通点はあれど、同一条件下であるなどありえないのですから。現状で希望どおりやれないことは、その時を待つか或いは飲み込むという判断が必要になることもあるでしょう。それも含めて我々はそれぞれ異なる生活者であるわけですから、此度の判決は一つの重要な転換点ではあっても、誰もにとって唯一絶対の拠り所ではないと思うのです。

*1:そもそも離れたフロアの使用自体は許可されていたわけで。また、原告の長きにわたる移行先の性別としての生活実態があっての判決だったはずです。