ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

SOGI

葬儀を終えた次の日の朝は寝落ちからの起床で始まりました。起きたら身体が軽く感じたので、まぁそういうことなのでしょう。

 

さて、今日はタイトルの通り「葬儀の場におけるSOGIの問題」について感じたことを記してみようと思います。敢えてSOGIとしているのは、シャレもあるけど事によってはシスヘテロでも関わることだと感じたので。

葬儀というとそれを行う単位はやはり「家」。そこではいわゆる「伝統的家族観・ジェンダー観」が前提に事が進むことになりましょう。まぁ、故人の年齢や親族構成にもよるでしょうが。

 

私が今回一連の流れを見てきた中で浮かび上がっていた問題はこんな具合。

  1. 未婚である人に対する『結婚/相手/子供はまだか?』という圧力
  2. 喪服や鞄等の持ち物の男女差
  3. 外見を典型的な男/女らしく見せろとの要求、それにより望まない外見でいるのを強いられること
  4. 式の種々の場面における性別役割分業
  5. 男女による死化粧の有無や濃淡の差
  6. 主に業者からの『奥様』『ご長男様』といった性別に基づいた呼称
  7. 仏式の場合は戒名の男女差(信士/信女、釋/釋尼 等)

 

割とあった。順を追って見ていきますか。

1はもう、葬儀でなくとも親族が集まる場での定番ですね。性的指向だけでなく生き方としての未婚であっても心無い言葉には変わりません。

2と3は関わり合ってきますね。外見で否応無しに男女に分けられる。特に3は、今回私がトランスでありながら親族にカミングアウトしていない&原家族から断髪を求められるという状況にあって、嫌という程の苦痛を体感しました。ノンバイナリ、或いは独自のファッションセンスを持つ方にとっても時に苦痛であることでしょう。

4は例えば故人の遺体・棺を運ぶ際に『男性の皆様はお手伝いください』『男性の方がなるべく上半身をお持ちください』と言われたり、女性にだけ会食や火葬待機中の席で給仕や式場での受付が求められたりといったこと。「お力のある方」や手の空いている人・余裕のある人では駄目なんですかね。

5の話を葬儀屋から聞いた時、私はこれまで以上に「男としては死ねない」との思いを強くしました。外見を整える目的で薄めのメイクは希望により施すようですが、フルメイクではないよう。遺言に希望をしたためておくのが安全策か。

6は葬儀屋側が時代に合わせてアップデートすべき所なのかなと。「お連れ合い様/パートナー様」とか「ご長子様」とか。いっそ名前で「○○様」というのも改名を希望する当事者が居なければありでしょうが。

7…は…これどう決めてるのでしょう。戸籍に基づいているんですかね。トランスの方が希望を叶えるには戸籍変更ということになりましょうが、種々の事情でそこまでできなかった場合はどうなるのか…。遺言で何とかなる範囲なんでしょうか。教えて有識者様。カトリックで洗礼時に与えられる洗礼名(クリスチャンネーム)とかも同種の問題を孕んでいそう。

 

うーん、我が家だけのケースもありそうだけど、広く冠婚葬祭や親戚付き合いにおいて残る旧来のジェンダー観の問題も根深そう。普段はなかなか根回しのできない人達が相手なのが難しいところ。かと言って、時代が変わるまでのんびり待っている訳にもいかない。こうした発信の積み重ねで、少しでも変化のスピードを上げられればと思います。