ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

ステージ衣装

昨日に引き続き音楽にまつわる男女分け、本日は衣装のお話。

 

クラシック系だと特にですが、演奏会の衣装=フォーマルスタイルになります。スーツとかドレスとかタキシードとかなんかそんな感じの。つまりは、性別で着るものがガッツリ分けられるということです。企業のドレスコードだと明文化されていないこともありますが、演奏会は演者であれば全員が聴衆の前に姿を見せることもあり、必ず「本番衣装はこれを着て下さい」と明文化されます。

よくあるのが

  • 男性:上下黒スーツ、白ワイシャツ、黒蝶ネクタイ、黒靴下、黒靴
  • 女性:黒ブラウス、黒ロングスカートまたはパンツ、黒靴
というパターン。
 
私はこれも楽屋と同じく出生時の性別に従った装いをしている訳ですが(要はB面)、ただのスーツでも男性のみにそれが指定されているが故に自身が男性と認識される状況は結構ダメージがあります。私の観測範囲では、ガチのクラシックオーケストラだったり長く続く楽団だったりするとこうした典型的な男女分けが多いと思います。
 
一方、ポピュラー系の楽団や若い人の多い楽団、フェス/イベント形式の場合には性別を問わず統一している所も最近は少しずつ出てきました。
例えば
  1. 上黒シャツ、下黒パンツ、黒靴
  2. 上カラーシャツ(モノクロ除く)、下黒パンツ、黒靴

といった具合に。統一感を持たせつつもやや崩しめのスタイルが特徴。何より性別で服装が変わらないので、分かれている時よりは心穏やかに演奏会の時間を過ごせます(なお骨格)

より先進的な取り組みとしては昨秋に出演したとある公演。衣装の指定は「大枠としてモノトーン・フォーマルスタイル」。以上。男女の別も統一も無し。私はこの時、上黒ブラウス下黒スキニー黒パンプスで臨みました。このドレスコードに対しては『例が無いとわかりにくい』『決められていないと却って困る』との声もありましたが、終演後もお客さんから衣装について物言いはつかなかったし、性別がどうとか関係無く各々着たい衣装に身を包めるという非常に理想的な演奏会だったなぁ。どんな服を着ようか迷う楽しみは今まで演奏会という場では私には無かったものだから。これを決めた大切な友人に改めて感謝したい。

 

さて、昨日の演奏会では最初に挙げたような男女別のドレスコードだった訳ですが、やっぱり「自分はいつ"あちら側"に行けるのか」との思いが頭から離れません。別にレースヒラヒラ・生地スケスケのドレスを着たい訳ではありません(体格的に無理がある)。無地の黒ブラウスに同じく無地の地味な黒スキニーなりスカートなりで十分。とは言ってもこれが過ぎた願いであるという現実がここに。

これもまた恐らくは戸籍変更までお預けとなるのかな…と思いきや、インタビューサイト「LGBTER」に先日掲載された方は、戸籍変更前ながら所属オーケストラに女性として出演なさっているとのこと。その方のFacebookページを見てみると、ドレスに身を包み演奏されているお姿が。憧れるなぁ…。

lgbter.jp

 

見た目と生き方に説得力を持たせて周囲に"種まき"をする…自らが求めるものを得る為の行動、その積み重ねが物を言うしそうしなければ先へ進めない。私も、亀より遅い歩みでも足は止めずに進んでいきたいものです。