ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

宣言なくして

先日、年明けに出演する公演の衣装について案内が来ました。案の定と言うべきですが、

男性:黒礼服もしくは黒スーツ(白シャツ、黒蝶ネクタイ)、黒靴下、黒靴             
※タキシード可、燕尾服不可  
女性:上下黒(パンツorスカート、ツーピースorワンピース問いません)、黒靴 

とのこと。

 

私は当然のように男性として出演します。ポータルサイトへの登録も男性だし、メンバーからも(事情は知られている上で)同様に認識されているので。誰も変に思う人はいません。ですが、毎度のことながらこう明確に分けられると、「お前は男の側にいるべき人間だ」ということを突き付けられているようで正直負担感はあります。心がチクチク痛むとでも言いますか。でもそんなことをいちいち気にしていたら趣味の活動もできないわけで、甘んじて受け入れるのみです。

 

……で、こういうことを考えていたらふと気付きました。

「もしかして、自ら宣言しないことには衣装の移行はできず、一生スーツのままだね?」

今更。当然のこと。私のセクシュアリティに関する事情を(程度はともかくとして)知っているメンバーが多くても、「だから私はこうしたい」を伝えなければ進展なんて、あるわけない。まぁ、それもわかった上で言わないんですけどね。『疑問点やご要望等ありましたらお気軽にお問い合わせください』にこういうケースは想定されていないし、何より全メンバーからの許可が絶対におりない。要は自分の見た目を考えろって所に落ち着いてしまうのだよ。屈強な男が女性衣装を纏っていたら、その方が変に思われる。ドレスじゃなくただの黒シャツとテーパードパンツだとしても、はっきりと衣装が分けられている以上はね。

実は私がホームにしている別の団体では、何度か衣装の打診を首脳陣の方からされたことがあって。それでも私の方から固辞し続けています。「治療の進み具合によってまた相談させてください」とかなんとか私から言っているけれど、「また」の機会が来ないことは自分が一番わかっている。これは残念だが仕方のないこと。

 

"埋没"が不可能な場合には、性別移行を進めながらもその中で諦めなければいけないことが出てきます。宣言しないと望みは叶わないがその可能性がゼロであれば現状を受け入れる。このように、折り合いをつけていくことは多いのです。