ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

黒シャツ

今朝起きたら、所属オーケストラの仲間からあるメールがきていたのに気付きました。曰く『本番衣装ってじゅりどうしてたっけ?』と。続けて、黒シャツを提案しようと思っていたとも書かれていました。

 

彼は私のセクシュアリティのことも知っていて、その上でこう訊いてきてくれたことに朝から目頭が熱くなりました。黒シャツというのは即ち男性の衣装ではないということ。うちのオーケストラでは

  • 男性: 黒スーツ上下・白ワイシャツ・蝶ネクタイ
  • 女性: 黒上下

の指定があり、「あちら側」はどうかとの提案になるので。今回使うホールのステージ裏は広いし、そもそも私はここ数回の本番では楽屋を使っていない(予めスーツを着て家を出ている)。「在団トランス」とでも言える機会でしたが、私は気持ちだけ受け取って辞退しました。せっかくの気遣いを無碍にしてしまうような申し訳無さもありましたが、理由も伝え合意の上での結論です。

 

その理由としてまず第一に挙がるのは、やはり治療の進行状況。パス度は勿論のこと、社会的にもパートタイム。何よりどこにもメスを入れていない。こうした「説得力」が伴ってない内に改めてメンバーの皆さんに説明するのも時期尚早だと判断。男性としていつものスーツスタイルで演奏することにしました。原家族が来る可能性もあるのでね。

私と同じMtのトランス当事者の方がとあるインタビューにて、所属されているオーケストラで女性として出演するようになったと仰っていました。同じ風にしようにも、その方はだいぶ移行が進んでからだったので。出演の年に睾丸摘出と改名をされた他、職場でも20年ほど根回しをし続けた結果だそう。そこまでやってこその「説得力」だったのでしょう。

 

演奏者としての移行はもう少し先。団体としての衣装の取り決めにはよるけれど。ともあれ、数々の予定が潰れた今年においては大切な本番。もう2週間と少しです。