ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

ジェンクリ #67

間が空いてしまった定期通院。血液検査もあったので終わるまでは空腹との闘いでした。

 

近況として、次年度に営業部と共に取引先の会食接待に携わることになったので髪を切らなければならなくて気が重い……とまず主治医に報告。「少なくとも秋まではカミングアウトしない前提で話してい」たのですが、何よりも最近は職場へのカミングアウトのタイミングが読めなくなっていることでの行き詰まりを感じる日々。風土は勿論のこと、これから弊社は繁忙期に入るし、カミングアウトされた側の負担を思うと「自分が、自分が」と行き過ぎた主張はできない。他の人に投げ渡せない爆弾を背負わせる訳ですから。

こうしたことを話していると『カミングアウト自体はいつかするつもりなんですよね』と確認するように主治医が問うてきました。治療継続の意志を疑われても無理は無いと感じつつ、肯定の返事。身体の治療を進める上でも生活面でも、*1隠すことの無い方が望ましく過ごせるだろうという感覚がこれまでの経験から一応はあるので。『ご自分のタイミングですが、仕事上で必要だと思った時にするのが良いと思います』と主治医に言われ、それはその通りではありますが同時にハッとしました。私は職場へのカミングアウトを「できるのか」「言う前にバレてしまわないか」「否定されるだろう」という視点でしか今まで考えられていなかったのでしょう。言ってしまえば、自分の舵を自分で取れていないということになるのかも。

主治医が続ける。『これは例えばですよ、その秋の接待の際に「……こういう事情があって髪型のことで配慮をお願いしたい」とか』との提案は確かに必要な時ではあるものの、私はこれを「行き過ぎた要求だ。*2そんなこと言えるか」と内心では感じていました。それでも私にだって思いつくことはあって。それはやはり名前。「あと2〜3年で読み方の変更にも家裁への申請が必要になるので、それまでに済ませたい」と考えており、それがタイミングの一つだろうと*3主治医に伝えました。ファーストネームを呼ばれたり入力したりするのは毎回たまらなくストレスフルだもの。そういう風に、要不要で考えていくのが良いだろうと主治医。それならば、すぐの配慮が不要なタイミングで唐突なカミングアウトとなる可能性は減ると想像します。

 

しかし「これは職場の人達が私のこと(セクシュアリティや髪)に気付いていない前提での話」なので、「カミングアウトした後で実は気付いていたり察されたりしていたとしたら、どうしたらいいかわからなくなると思」う。私みたいな人間がカミングアウトしようものなら青天の霹靂という言葉では不足なくらいに衝撃でしょうから、『やっぱり』『薄々そうだと思ってた』といった反応は十中八九あり得ないのですが、それでも残りの一二が気にはなる。

主治医と話す中で自分の捉え方に気付かされることの多かった診察。幾ら泌尿器科コスパが良くとも、これはあちらにはできない芸当なのです。将来的には"卒業"すべき場所だろうと、まだ私には必要だ。

*1:でもこういう考え方って、「自分は」望ましいとしか言っていなくて、配慮を強いられる周囲の方々のことはガン無視でしたね……反省。

*2:=言うくらいなら黙って決まりに従う方がマシ、に繋がります。

*3:自分で言っておいて、こちらは行き過ぎた要求とは感じませんでした。いや、実際内心ではそう捉えているのでしょうが、他者から言われたことで際立った面はあると思います。