ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

#ありえないデモ1001

土曜日夜、講座の後は小田急線で一路新宿へ。初めて「ありえないデモ」に足を運びました。まるで活動家みたいなスケジュール……どちらもいち参加者に過ぎませんが。頼さんが主催されているこちらのデモは、『生殖や性別のあり方に国が介入する現状はありえない』と標榜し、主にトランスジェンダーやノンバイナリー当事者の人権を訴えているもの。存在は知っていましたが、今回はAce Weekへの連帯を掲げるとのことだったので、Aセクシュアル当事者としては聴かねばと思い向かうことにした次第。

 

デモの元々の方向性もあってか、スピーチ自体はトランスやノンバイナリーの置かれた現状への憤りや嘆きを表明するものが中心。ではありましたが、恋愛を当然とする規範が強い現代にあって、Aセクシュアルは存在を「ありえない」とされがち。そこへの連帯を表明してくださったことは、素直に心強く感じました。幾ら外野が「ありえない」と思っても、我々は確かに存在しています。『まだ知らないんだ』とか『逃げているだけ』とか『吉原に行け』とか言う前に、まずは居るのだと知ってほしい。否認される現状こそが「ありえない」のだと、性的マイノリティの中でも目立ちにくいからこそ訴え連帯する人々がもっと増えれば……と思います。

 

ただ私の場合は「そうは言っても」という所があって、権利を訴える行為が現実の生活においてどこまで許容されるかという懸念が常にあります。事を荒立てずひっそり生きたいという点で、「ありえない」と言うその口を塞ぐ動きにも親和性を覚えてしまうのですよね。デモをありがたいと思いつつも、私が100%同調しきれないのはそこ。まだ他称TERF側に軸足を置いているせいもある。実際、デモの勢いとしては現地開催のこちらよりネット上の「ファイヤーデモ」の方が圧倒的でした。現実に沿っており同意できる主張が滝のように流れてくると、どうにも自分の思想的な立ち位置が定まらなくなりそうで仕方ありません。「TRAの私」と「TERFの私」で分裂しているかのように感じることもある。統合、できないものだろうか。