ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

在「団」トランス

在職トランスの亜種…と言う程のものでもありませんが、「移行前から身を置いていた何らかの趣味コミュニティに移行中〜後も所属し続けること」だと捉えてください。

私が趣味で吹奏楽やオーケストラをやっていることは過去の記事やtwitterでも言及していますが、現在もいくつかの楽団に所属しています(なので『在団』という訳です)。その中の一つから去る気持ちが固まったというお話。

 

今日は7年前から所属している吹奏楽団の練習でした。普段は平日夜間に練習をしているのですが、それに加えて土日にも月1回夕方まで練習する日を設けており、今日がまさにその日。仕事が変わってからは平日の練習にもフル参加できない日が続き、土日の練習も本当に久し振りの参加でした。

これだけなら「久々の楽団で練習の遅れを取り戻せて良かったね」で済むのですが、私がここに入団したのは7年前。実家におり移行はおろか自認すらはっきり定まっておらず、脱毛すらしていなかった頃。つまり周りは男時代の私を知っています。しかも団員の殆どが私より年上。男性ならそこそこの企業でそれなりの地位にある方(そして勿論家庭を持っている)、女性なら専業主婦が中心(仕事をしている方もいます)と、要は典型的な在りし日の日本社会の構成員と言える層(日本会議が今も求めてやまないような)で成り立っている楽団なのです。

 

そして平日の練習は仕事帰りなので当然私もスーツスタイル。最後に土日の練習に参加したのも私服の移行前。今日は久々の私服参加。周りからどんな反応が起こったか…演奏以外の時間には徹底的に周りを見ないよう努めていたのでその全ては知りません。以下に述べることの延長線上であることは容易に想像できますが。

実は普段の平日練習に行っていた時も髪は伸ばし続けていたので、「○○君、髪伸びたねー」「雰囲気変わったなぁ」とは言われていました。最初はイメチェンに驚くくらいの”かわいい”反応でしたが、秋口に入ると”その程度”では済まない類のそれが周りから見えるようになっていました。

  • ガチの驚き
  • こちらを見ながらのヒソヒソ話やドン引きするリアクション
  • 「めっちゃ髪伸びてない?」といった程度の強調
  • 「なんか今風になって」との皮肉

 

私が認知した限りではこんなところでしょうか。スーツ姿でこれです。職場でも現状はっきりとは認識して(できて)いない反応の数々。しかし今日は私服。推して知るべし。事務連絡以外に会話せず空き時間は遅れを取り戻す意味でひたすら個人練習をしていたのですが、それは正直そうしていないと居た堪れないと感じたからです。

付き合いが長いと、会話の中から「そっち」の話題に限らず少数派とされる存在への態度や想像力の有無って見えてくるもので。加えてその人達が持つ攻撃性も。普段職場でハラスメントだって言われてませんかー?的な。私も若輩者ながら公私で色々な組織に身を置くと見えるものってやっぱりあって。諸々考えた結果、これから先移行をしていくに当たってここに籍を置き続けるのは厳しいぞ、と一応の結論を出すに至りました。

 

まぁこの結論に至るまでにも、

  • 仕事の都合で参加回数減っているのに実家への顔向けで続けるのってどうなのよ。いくら練習場所と演奏会のホールが実家のそばで、当時は通うのが楽だったからって。
  • 入団当時はここしか知らなかったけど、実際もっと自分がありのままで居られるコミュニティ見つけちゃったんですよね。
  • 楽器の上達という点で恩義は感じているけど、自分が居心地悪くなってまでも留まってお金払って活動するってナンセンスじゃない?
  • 正直平日夜間は通院なり講座なり会合なりに充てたいし、そう思える先が増えてきた。
  • 他の楽団と掛け持ちしていると、スケジュール上の拘束日があまりに多くて他のプライベートに割ける時間を捻出しにくい。

 

…とかまぁ色んな迷いはあったんです。実際、ここがセクシュアリティも含めてありのままの自分を出せる環境だったら、見た目が変わりながらも居続けることが…「在団トランス」ができたかも知れません。

しかしここはそうではなかった。それだけの話。ありのままで居られる環境に私はこっそりと移りました。

まぁ、半年前にご家庭やお仕事の事情で私のパートから2名の退団者が出てしまったことや、一応私は団内で戦力になっているらしいこと、加えて原家族に辞める旨を伝えると(演奏会には必ず来るのでバレる)、何故せっかくいい所なのに辞めたんだお前のコミュニケーション不足じゃないのか…との根掘り葉掘りが嫌だし目に見えているという諸々の事情から、退団ではなく休団ということで楽団とは話を付けています。私の甘さ・弱さが窺えますね全く。勿論、楽団と原家族に対しては「仕事が忙しくて…」といった表向きの理由を用意。その休団届は復帰しない片道切符だがな…!

 

私の例ということで音楽団体でしたが、移行前・カミングアウト前から所属していた趣味コミュニティに居続けるかどうかは迷う方もおられるだろうなと思い、何も学べることが無さそうなただの情けない私のお話を長々とさせて頂きました。ほら、トランス前の人間関係を切る人もいるって話は聞くし…。

趣味コミュニティの構成員がどのような層から成るか」。人のご縁と言ってしまえばそれまでですが、その大切さを噛み締めます。なんか今日は体力以上に気疲れしたよ。色々オフ会あったみたいだけど、行けなかったの悔しいなぁ。

 

因みに本日の私服。今の私が最大限に気を使ったパンツスタイルのボーイッシュコーデ。f:id:julia88h:20181118175012j:image