ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

職場とセクシュアリティ #5

昨日はジェンクリの足で行って早く着けたので、少しばかり設営をお手伝いさせて頂きました。今回は初めての方が多く年齢層は高め。一時期は当事者間の意見交換の色合いが強かったのですが、ここ数回は労働者と管理側という立場での対話が増えたよう感じます。

 

さて、本日の事例は環境型ハラスメントについて。流行りのドラマに出てきた「女性的な男性」の登場人物。職場のとある人が雰囲気が似ているとのことで裏で揶揄されており、それを聞いていて辛いとの訴え。2018年はLGBTQを扱ったドラマが豊作でしたし、そうでなくても「典型的な(シスヘテロ)男女」から外れた人を揶揄する状況はイメージがつきやすいです。

 

事例では辛いと訴えている職員はヘテロでした。揶揄されている側のセクシュアリティはわかりませんが、周囲が「女性的な男性」を揶揄していることを糾弾しようにも「自分の方が勘繰られる恐れ」で何も行動できないとのこと。私はこれにとても共感してしまいました。実際にどう言われるかはともかく、性別役割分業が根深く残る弊社では、こうした言動を糾弾することによって『そんなに必死になるなんて、もしかして”そっち系”?』と言われる恐怖が付きまといます。

職場ではLGBTQの話題や典型的な男女像から外れたことを揶揄する言動は今のところ見聞きしていません。まぁ、典型に収まる人しか見かけないとも言いますが(それこそ典型から外れているなんて私くらいのものでは!?)。たとえネガティブな話題や言動でなくても、自分がそれらに言及することでアウティングされるのは怖いです。まだカミングアウトするタイミングでないと考えているので余計に。以前職場で起こった「友好旗」事件を思い出します。その時はお茶を濁しましたが…(詳細は以下記事より) 

julia88h.hatenablog.com

 

事例に関するディスカッションを通じて、ハラスメントに物申せる人の強さを感じ、そして憧れます。私は如何なる状況でも「波風を立てまい」と口を封じてしまうので。吐き出せない私が形成されたのは、懐が深いような口ぶりをしておいて反論や弱音を許さない雰囲気を醸し出す原家族の存在が大きくて。何か言おうとして黙るならまだ良い方。『先生怒らないから(言ってごらん)』は何を言っても怒られるシチュエーションでの定型句ですが、それが続けば何も言わなくなるし、最初は言いたいことが思い浮かんでいたのが次第に何も思えなくなりますからね。

 

それはそうと、下っ端労働者の側からハラスメントに対して物申すことのハードルがそもそも高くはありませんか。人事院規則と男女雇用機会均等法で、ハラスメントと見なされる範囲にかなり差もあります。ILOの新条約の批准等で上が変わればトップダウンで下々の者も働き易くなると、日本的組織に身を置く人間としては感じる次第。

言動により形成された環境もハラスメントになる…というのは、当事者的には当たり前に思えても法律にとっては新しめのお話のようで。「人間、色々で当たり前」と思える人に囲まれた現場に身を置ければ理想ですが、それができないなりに今いる場を良くしていけないかと考えねばです。