ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

父方祖父 十三回忌法要

運命の日が来ました。起床は実父からの、前日の実母からのリマインドメールに返信が無く心配している旨のメールという最悪の目覚め。しばらく付き合いの長いぬいぐるみ達を抱いてうずくまっていましたが、時間が迫り観念し起床。

 

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参列者は私、実父、実母、叔父夫婦、従兄(叔父の長男と次男、それぞれ+5・3歳)、+3歳の従兄の妻、息子、叔母、従兄(叔母の長男、+12歳)。計11人。実父+10歳の伯母は高齢と体力低下、従兄(叔母の次男)は仕事の都合で欠席。故人から見た孫世代の中では、私が最年少。

 

服装は実母からの”指示”もあり、例によってスーツ姿(ネクタイは到着後に黒へ換装)。ジェルでオールバックにし、仕事の時以上の男装。

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控え室で実母から開口一番『ねぇ髪また伸びてる〜』と。椅子に座ると、『どこまで伸ばすの?』と言いながらなんと徐ろにワイシャツの襟の中(髪を収納している)に手を伸ばし中を覗いてきた!親元を離れて一人暮らしをしているover30の子供に対して平気でこういうことしてくるのは個人的には”ナシ”なんですが、そんなもんなんでしょうか。他の親戚に挨拶をしながら華麗に実母の追及を躱しつつ本堂へ。しかし、法要時の席次は家の関係でどうしても隣になってしまう。法要の直前、既に全員が着席し一般参拝客の目にも入るというのに、『まだ(前職)続けてるの、ねぇねぇ、仕事変わったんじゃないの?』と小突きながら訊いてくる。まるでクラスメイトの恋バナを聞き出そうとする中学生みたいな態度(私見)で。大人気ないしもうすぐ始まると私がたしなめると『親が勤め先知らないっておかしいでしょ?後で聞かせて』と”常識"を使い追及の手を緩めない。休日に近くに来たからと(前)職場の前を通って中を覗いて帰ってきたり、私の所属オーケストラのInstagramの写真を拡大しながらどこに私が居るか探す様子を見せてきたりと、私にはどうにもストーカーじみていて怖い。

 

法要自体は恙無く終わり会食へ。

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亡き祖父に献杯し、祖父の思い出やそれぞれの近況と話が進む。私はというと、周りで繰り広げられる話と親族の視線に全神経を集中させ、私の近況に話題が向かないよう必死に操作。自分にとって都合が良い話題(昆虫食など)を被せつつ、仕事やセクシュアリティについて触れられるという最悪の事態は回避できました。『彼女は?』『随分雰囲気が変わって一瞬誰かわからなかった』『芸術家みたいな風貌』『ますますいい男になったね!』このくらいなので私の中ではかすり傷。

 

デザートも出てきてそろそろお開きかという頃。1時間も経つと流石に場のコントロールにも限界を感じてきました。実父が改めて我々子世代一人ひとりの近況を話すよう言ってきたので、従兄(叔父長男)の話が始まった辺りで一旦トイレへ離脱。区切りのいい時間だったこともあり、”奥の手”を使うことに決めました。

荷物置き場で一際目を引くは、私のトロンボーンケース。最初に全員で顔を合わせた際に「これから練習」と言っておいた。その通りに、「これからオーケストラの練習があるんでお先に失礼します」作戦を決行。実父譲りの朗々たるバリトンでおいとまする旨を宣言し、針の筵になる前に脱出を達成したのでした。勿論本番が終わったばかりなので練習は無く、いざという時の為のカモフラージュ。嘘も方便。無事に家に帰り着き、シャワーとシャンプーでジェルを洗い流し、夜のオフ会に向かうのでした。

 

短い時間ながら実母は相変わらずの粘着&干渉っぷり。しかし、ふと叔母が言い放った言葉には救われる心地がしました。

叔母『まぁ、うまいことやってるみたいなんだから(そんなあれこれ気にしなくても)いいんじゃないの?』

叔母らしい飄々とした物言いで。叔母自身が今日は参列できなかった従兄(叔母次男)にやっているような「適度な放任」。それを苦手中の苦手とする実母は『いやぁ〜どうでしょう?』と『どうしても気にしちゃいますよ』とでも言いたげに首をかしげる

私はそこでせめてもの抵抗をしました。「今叔母さんが仰ってた、いいんじゃないの?って言葉はその通りだと思う。やっぱり(実母には)もうそろそろ子離れして欲しいっすよ。」すると実母『でもおばあちゃん(8月に死去した母方祖母、実母から見た母)のこともあったし○○君には…(もっと帰省してきて居て欲しい)』『(叔母に向かって)私も会ったの8月(の祖母葬儀)以来なんですよ』と反論。それに対して私は「勿論ばあちゃんの*1グリーフワークをしていくのは大事だしワシもワシでそれはやってる。ただ、処理しきれない分をワシに投げてくるのは違うんじゃないの?あくまで個々にばあちゃんの死を受容していくもんじゃないかなー、というのがワシの見解」と収める。その後はすぐに私が退出したのでどう話が動いていったかは知ったことではありませんが、私の居る間は少なくとも激昂せず。その辺の分別は流石にある。というか、薄情そうな目で私を見てきたような。

 

それにしてもこれについて象徴的だなと思ったのが、実母がお膳の中で自分が食べきれないものを私にしつこく勧めてきたこと。ご飯やら天ぷらやら…実家時代からあったことではあるのですが、そのせいで私(のお腹)は重苦しいったらない。自分のキャパを超えたものを、親という立場故の善意を利用して、私がいくら断っても最終的には押し付けられ引き受けざるを得なくなる。祖母の死と食べきれない食材。この二つがとてもパラレルで、振り返って書いていてびっくりする程。これ、これからも渡され続けていたらパンクしますよこちらは…。うーん、メラニー・クラインをもう一度ちゃんと学びたくなるわね。

 

今回も結局はセクシュアリティ関連は先延ばしに終わってしまいましたが、ひとまずは乗り切った自分を労うことにして、これからオフ会で中華食べてきます。

*1:寺が主催の講座にも通っているらしいが…