ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

二度目の断念

に、なるんですよね今回は。一度目はここまで強い感情ではなかったけれど。

 

私には性別移行を諦めたことが実は前に1回ありまして。学部2年の終わり頃なので、ざっと10年前ですか。

当時から性器を中心に嫌悪感を抱えていた私。学科がごちゃまぜになる語学のクラスで初めてMtF当事者が現実にいることを知った年度でした。年度初めには少し髪の長いなよっとした男子学生だった彼女は、夏休み明けには一気にロングヘアになっていて教員からの呼ばれ方も変わり、知らない人が見れば女性という風貌に。後ろの席からそんな彼女の変化を見続ける、刈り上げ頭に*1無精髭でまさにゴリラのようだった私。「性転換手術」というものがあるのは知っていても脱毛というものがあると知らなかった私は、自分みたいな男が性器を切るなんて無理だと悟ったのです。

それから卒業し働き出すまでは、学業と音楽活動の傍らタックの技術向上や補正下着の調査に精を出し、形を似せたシリコン製の下半身ボディスーツは高額で買えないと嘆く日々でした。結局働いても実家脱出の貯金が優先で買えずじまいだったのですが。

 

時は流れ先週。奇しくも10年前と同じく容姿が原因で性別移行を(今度はハッキリと存在や方法を認識した上で)諦めることを考えるなんて、人生とはこれ程までに数奇なものでありましょうや。結局は努力の足りなかった自分が悪いんですけどね。あの頃から全く身体が変わっていないのだから無理もない。

そりゃ少しは変えようとしたさ。GID診断とホルモン治療。脱毛ヘアケアスキンケア。痛みに耐え道具を厳選し習慣化させ、ついぞ変われなかった。医療脱毛を20回近くやってまだボーボーじゃ、流石に無理だと悟れます。いや、踏み切る前の吟味が足りなかったのかも知れませんね。いくら「男として老い/死にたくない」と願っても、それが素質の上で現実的にできるか明らかにせねばならなかったのです。公害は除去する必要がある、ワガママに自己実現ばかり考えてはいけない、と。

 

三度目とかも、あるのかな。いや、ここで終わりにしないといけない。まだ完全に断ち切れてはいない未練を早いところ断って、男らしく腹を決めねば。

*1:一応毎朝剃ってはいましたが、あまりに伸びるスピードが速過ぎて昼にはびっしりチクチクになっていたのでした。