ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

すぎやまこういち

ドラゴンクエスト」等で知られる作曲家・すぎやまこういち氏の訃報が飛び込んできました。仕事を終えてスマホを見た時の衝撃といったら。音楽活動をしていると氏の作品に触れる機会も当然あり、「序曲」や「この道わが旅」をはじめとした色々な曲を色々な場面で演奏したことを思い出します。使える音が少ない中でも耳に残るキャッチーなメロディは、ゲームの曲という枠組みを超えて親しまれていると思います。曲は私も好きですね。「おおぞらをとぶ」はいつか演奏してみたい。

 

ですが、氏を手放しに称賛できるかというとそうではなく。性的マイノリティの立場からすると、作曲家の他にも右派論客としての氏を思い浮かべます。特に、杉田水脈氏の発言に同調したことはやはり看過できるものではありません。保守の立場の視点や考え方を知り学ぶことはあっても、それを自身の血肉とすることは(経験やアイデンティティの面から)私にはできないのです。

氏のイデオロギーは私にとっては受け入れがたいものがありました。しかし、私を含む多くの人を魅了する曲を書いたこともまた事実。坊主も袈裟もではなく、そこは切り分けて考えたいです。無条件に白か黒・100か0に振り切るのは、その間にあるものを見逃しかねない……と自戒します。