ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

炎上商法

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻。サバイバルゲームのネタとしてYouTube動画を投稿したとある方が炎上していますね。時事ネタ・不謹慎ネタには昔から関心がありよく眺めてきましたが、流石にこれはアカンやろとしか言葉が出ません。

この方はMtFのトランス当事者としても情報を永く発信しており、その筋ではよく知られています。かくいう私も*1自分が治療を始めるより数年前からサイトで情報収集をしており、メールマガジンや個別のやり取りで有益な情報を得たこともありました。しかし、この方が性別適合手術をする前後くらいの時期からでしょうか。やたらと当事者を煽るようなタイトルやサムネイルでの動画が目立ってきたようにも思います。炎上商法は今に始まったことではないという訳ですね。

 

敢えてサバゲープレイヤー以外の側面に触れてきましたが、今回の問題はあくまでこの方の情勢の読めなさ、倫理観の乏しさ、そして炎上商法に走ってしまったこと。それはMtFであってもなくても同じく非難されるべきことです。しかし、MtFであることへの非難の声も多く寄せられています。動画やブログ内には今回のサバゲー云々とは別個で「これはアカンやろ」と言える投稿も実際あるにはありますが、MtF全体の責とまでは言えないでしょう。

一方で、いち当事者として、「一緒にされてはたまらない」「自分(達)は違うのに飛び火していい迷惑だ」という思いは正直ありました。ただ、違うと切り離す態度は危ういもの。この方の責は私個人とは別個にあっても、MtFという属性に向けられる目に対しては私達一人ひとりが応答を示す必要があるのだと思います。既に『MtFの中にこんなやばい奴がいる!』を通り越して『MtFこんなやばい奴ばかりだ!』という非難が(今回の件に乗じて改めて)挙がっていますからね。この方の炎上に対して非難するにしても、いかに『~の中に』『この人は~』という段階に留まっていられるかが鍵になるかと。一足飛びに『皆』と対象を広げられることなのか。そこは立ち止まってみるべき所です。今までは立ち止まれなかった私ですが、軍事侵攻という文脈で此度の騒動が立ち現れたことで、流石にここを飛び越えてしまうことへの疑問が生まれました。

 

振り返って、私が支持してきた論客の多くは(そして私も)今回に限らず当事者の炎上を受けて、*2その個人に限らず属性への批判もしていました。この一足飛びに論理的な飛躍が本当に無いのか、この論調を見慣れることで自分の思考パターンが固定化されていないか……といった可能性には留意する必要があると思います。

*1:今でこそ当事者発信の情報サイトやチャンネルは増えてきましたが、当時は殆どそういったものが無く貴重でした。

*2:それこそ、『皆さん立ち止まって考えて!』と警鐘を鳴らす論調で。