ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

パッチワーク

本日帰宅後、たまたま動画サイトのトップに出ていたので視聴したポリタスTV。ジャーナリストの津田大介氏がやっている討論番組ですね。何故見たかというと、単純にジェンダー関連の話題を取り上げていたからなのですが、そこで述べられていた内容が存外に良いものでした。 

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今回は、『男性中心企業の終焉』を上梓したジャーナリストの浜田敬子氏との鼎談。女性の働き方に関する話の中で『パッチワークロールモデル』という考え方の枠組みを提唱されていました。*1単一・特定の理想的なロールモデルを道標とするのではなく、色々な人の良い所の『つまみ食い』をしていき、自分自身の働き方・生き方を形成していくというもの。モデルだからといって先達ばかりでなく、世代の上下を問わず下の世代からも学んでいく態度を含んでいるとのこと。

 

これは女性の働き方に関する文脈で述べられたことでしたが、トランジションにも言えるのでは……という点で共感した次第。性的マイノリティとしての自身に対する認識は、えてして「私だけがおかしいんじゃないか」という点からスタートします。ロールモデルの不在ですね。そこから段々と一人ではないことを知り、リアル/ネットで同じセクシュアリティとして括られる様々な当事者と出会っていくわけです。殊にトランスなんて、トランスであるという一点以外は全て異なる別人ですから、特定の人を目指していくこと自体が非現実的。だからこそ、「この人のこれはできそう」「あっちは違う」等の『つまみ食い』・『いいとこどり』をしながら、自分なりのトランジションをしていくのが良いと感じます。パッチワークはそれぞれ出来合いのものでも、繋げ合わせた自分自身は一点ものです。

勿論「自力でやってみたらうまくいった!」という場合もあるでしょうが、右も左もわからない段階ではなかなかそうもいかないもの。最初に必要なのは、やはり先駆者が通った道。その意味で、SNSが性的マイノリティにとって果たすプラスの役割は大きいと思います。ただ、マイナスの役割も同等かそれ以上に大きいという一面も。深淵を覗く時は何とやらですが、せいぜい引きずり込まれないようにする程々の距離感を維持することが肝要かと。なんだか最後は自戒めいたことで終わってしまいました。

*1:『青い鳥』とたとえでいたのはわかりやすかったです。それがいないことを前提とするのですね。