ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

特別企画/規格

昨日、年末の風物詩ことNHK紅白歌合戦の出場者が発表されました。年内を以て休業に入ることが決まっている限界を突破するあの歌手は、休業前最後の日に「特別企画」として出場するとのこと。出場それ自体や最後の最後にパフォーマンスを披露してくれることは嬉しいのですが……これが現時点での紅白歌合戦の限界なのかなとも感じざるを得ませんでした。

 

だって、紅白の男女分けはそのままなのに『白組・紅組の枠を超え』だなんて、どうしようも無く"自己紹介"になってしまうじゃないか。強大な二分法の中にわざわざ第三の枠もとい「特別規格」を設けることで、典型から外れた存在であると否が応でも強調されることになる。それは果たして本意だったのでしょうか。パフォーマンスはきっと素晴らしいものになるはずですが、NHK紅白歌合戦という中ではまだこうせざるを得ない状況なのかもしれませんが。え、まだなの……?

 

紅組・桃組・虹組云々と挙がる外野の声は、いずれも男女が分かれることを前提としているのは同じこと。戦後の時代背景を考えるとわからなくも無い。けれど、時代の流れを見て番組を作るなら、21世紀も四半世紀に迫ろうという時にあって、もっとやりようあるんじゃない?と思うのです。具体的には「そもそもの二分法からして問い直しませんか」と私は言いたい。

件の歌手でなくても、枠組みから見て非典型的な要素があれば殊更に目立ってしまう。『紅/白組なのに』と。名実共に国民的番組には、偏見を強化しクィアを許容できないままでいてほしくはないものです。グラデーションロゴ然り、今は制作側にとっても過渡期なのだとは存じますが、思い切った挑戦を是非して頂ければ……と期待します。