ボールとポールを取ってホールを付けたい

男の身体のままで死にたくはない。

日本語版ジェンダー調査2023

に、回答しました。

*1とあるアカウントの方が発信しておられる、大規模な非バイナリな当事者に関するWeb調査。投稿を概観するに、この辺りの分野の研究をされているのでしょうか。ノンバイナリの置かれた状況を明らかにする為というなら、当事者として協力しない選択肢はありません。数多のnの中の1ではありますが、届いてほしいと思います。

 

設問においては受けたい/た医療の内容といった項目までカバーされており、身体的な治療を受けている身としては『ホルモンやオペまでやってんならトランスでいいだろ』と弾き出さないでくれたことに安堵を覚えました。また、アイデンティティを表す言葉や人称代名詞について、選択に加えて自由記述欄を設けてくださっていた点もありがたい。自分の中の"現実"が選択肢に存在しないというのは、それほど少数ならばやむを得ないかと思う一方で確実に自分が削られている感覚があります。幸いにも自由記述欄のおかげで、私は自身のアイデンティティを最も捉えているであろう「男ではない」という言葉を入力することができました。

 

加えて、医療や差別に関する設問をパスする権利を回答者側に持たせた所も配慮が行き届いています。研究調査では回答者の心理的安全の確保は重要な課題。答えたくない/全く関係の無い設問である場合に無理に回答しなくていいというだけで、そうでない調査であるが故に答えきれなかった人達の声も拾えるというものでしょう。

私はどちらも回答しましたが、中には「これは差別と言えるのか?」と首を傾げるものも。自分(くらいの世代)や自分に近しい関係性の人が生きている内に変化が見込めないことについては、仕方ないものと割り切って(悪く言えば我慢して)生きるのも、また一つの現実ではないかと私は思います。何度も何度も拙ブログで私が述べているところの「波風を立てたくない」ってやつです。今置かれている状況をマイナスと感じて辛いくらいなら、基準点ごとずらしてきて0や0に近い所ってことにしておこう……という考え方。でもこれこそ、個々の社会的状況や出生時の性別、年齢等によっても見解が割れるだろうな。

こうした私の考えは消極的なのかもしれませんが、私達が直面する困難が一つでも多く無くなってほしいことは本音の気持ちです。マイノリティ内のマイノリティとも言えるノンバイナリだからこそ、この調査におけるnが1人でも多く増えてほしいと思います。

*1:本記事タイトルの言葉でそのまま検索すれば、当該調査に辿り着けると思います。なお私は全くの外野であり、回し者でも何でもありません。